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2022年6月10日
(この記事は元のニュース記事を独自に翻訳したものです)
2月24日にロシアが開始したウクライナ侵攻は、当初はその影響は当事国間のみに留まっていました。しかしながら現在その影響は、世界中に亘っています。
専門家によると、ロシアの影響が強い中央アジア諸国は、地政学的、経済的、評判的なリスクが特に高まっていると指摘されています。
この戦争で両国は大きく消耗していますが、ウクライナには西側諸国の多額の援助が付いており、ロシアは孤立を深めています。これにより、早晩旧ソ連諸国全体の経済的、軍事的、政治的弱体化をもたらすと分析されています。
これがトルコや中国にとって絶好の機会となることは、想像に難くありません。
カザフスタンの政治学者であるアシンバエフ氏は、中国が中央アジアで主導的な役割を果たす意欲に満ちていると考えています。しかしながら、中央アジア諸国にいるエリートは、中国による軍事的、政治的な影響が増すことを歓迎していません。これはトルコの影響力についても同様です。
「中国との『経済的な』関係強化であれば、反対するものはいない。しかしながら、軍事的・政治的な関係を強化することならばリスクが高いと考えられる。中国という国は、一度侵入を許すと、その影響を排すことが容易でないことは明らかだ。トルコも同じことが言える。スュレイマン・デミレル大統領の頃はトルコは世俗的で、それゆえ経済的な結び付きも強かった。しかし今のエルドアン大統領の掲げるプランは、中央アジア諸国にとってあまり魅力的なものではない。トルコを主導者とする軍事的・政治的同盟の構築を進めているからだ」と同氏は語っています。
「エルドアン大統領はイスラム主義的、汎テュルク的な発言を繰り返している。これは中央アジア諸国の不安定化をもたらす可能性がある。中央アジア諸国は中国・トルコ両国との関係に大いに関心を払っているが、それは合理的な域を出ない」
続けて同氏は、西側諸国は、ロシアの影響を中央アジアから排除したいと考えているが、依然としてロシアはこの地域に軍事的な拠点を置き、安全保障を担っている、と語りました。
実際、アフガニスタン情勢が深刻化した際、ロシアの協力なしには、中央アジア南方の国境の防衛は難しいと考えられています。
同氏は、中央アジアの安定と正常な経済発展には、特定の国によらないアプローチが必要ではあるものの、ロシアが優位を占めることは変わらないと考えています。
同氏は結論として、「『選択の余地はない』ということだ。中央アジアでは、エリートも国民もアメリカの影響が増すことを快く思わない。シリアやアフガニスタンの例を見ればわかるように、アメリカの貿易戦争が引き起こす犠牲者になることは誰も望んでいない」と語りました。
キルギスの政治学者のバクティグロフ氏も同様の考えを持っています。同氏は、ロシアは世界から最大限の制裁を受けているにもかかわらず、依然として世界第5位の経済大国であると述べています。
「(ロシアは)特に生鮮農産品では最大の市場でもある。キルギスの農業生産は、同国のGDPの約40%を占めていることを忘れてはならない。今後3年間は状況が劇的に変化することはないが、10~15年後には欧米に偏る可能性がある。ロシアの言語や文化の地位が全般的に低下しているためである。それらは今後、西側諸国に取って代わられるだろう」と同氏は語ります。
「今後中央アジアでは、東西のあらゆる関係国の駆け引きや陰謀が増えるだろうが、短期的にも長期的にもロシアが完全に排除されることはないだろう」
政治学者のジュラエフ氏は、中央アジアでロシアの役割が縮小しても、中国やトルコなど特定の国がその座を奪うことはないだろうと考えています。
同氏は、アメリカやEUも中央アジアでのプレゼンスを求めて競争に参加するが、彼らは石油やガスの豊富な国家への関心に留まると考えています。
専門家の間では、ロシアが中央アジアで主導的な立場を維持するという見解が一般的であるわけではありません。この地域におけるロシアの影響力が徐々に弱まっていく兆しは随所に見られています。
経済学者のアケネイェフ氏は、ロシアは近い将来国際的に孤立し、貧国になる危険性があると見ています。
「ロシアは、労働の供給や貿易相手国として、中央アジア諸国に依存している。ロシアで制限されている商品やサービスを、私たちの国を通じて供給することが可能だ。これは、金融システム、航空輸送など、制裁で最も大きな打撃を受けた分野にも当てはまる。このような状況の中で、中央アジア諸国のロシアに対する交渉の立場が様々な面で強化されるのは当然のことである。ウクライナ侵攻において、ロシア軍の弱さが明らかになり、地域の安全保障への信頼も徐々に失われている」とアケネイェフ氏は語ります。
「遅かれ早かれ、ロシア連邦の経済危機が深まるにつれ、貿易もロシアからの投資も減少に転じるだろう」
同氏が指摘するように、ロシアの経済的・政治的潜在力の縮小は、中央アジアにおける外部勢力の再編を引き起こすと考えられます。この地域の国々は、制裁圧力のためにロシアとの協力を制限せざるを得ず、労働力の移動や輸出のための新しい市場、さらにはロシア領土を迂回する新しい輸送ルートを求める可能性もあります。
同氏は、中国(特に経済面)、トルコ、アメリカ、EUなど、すべてのプレーヤーの影響力が大きくなる、と考えています。
また、中央アジアにとって賢明な戦略は、お互いの統合を進め、独立したプレーヤーとして活動できる連合を作ることだ、と述べました。
カザフスタンの専門家サトパエフ氏は、ロシアの現状は、すでに中央アジア諸国に多くの経済・財政・社会問題をもたらしているとの見解を示しめしました。
「テュルク評議会の枠組みの中でより緊密に協力することは、グローバルな経済圏で中央アジア諸国が埋もれないようにし、地域の協力も促す」と同氏は述べました。
「この協力関係の核となるのは、この地域の2つの大国、つまりカザフスタンとウズベキスタンであり、EUにとってのドイツとフランスに相当するような関係になる可能性がある」
また、中央アジアの地域協力は、経済的潜在力を引き出すだけでなく、「非友好的な経済的、政治的、イデオロギー的介入から自らを守る」ことでもあると、同氏は付け加えました。
いずれにしても、今回のロシアによるウクライナ侵攻が、中央アジアでのロシア外しを加速させているという点では、専門家の意見は一致しています。
情報源:
https://24.kg/vlast/236379/
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